今までの仕事|遠藤泰人 + 空間スタジオ

本棚に囲まれた一室空間の家
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建て主はマラソンや登山、そして読書が趣味のご夫婦です。
ご主人が子供の頃から暮らしてきた、寒くて暑い家の建て替えです。
当然ながら暖かくて涼しい家が第一条件。
その他は、読書家のご主人の為に蔵書の背表紙がまとめて見られる空間とすること、お互いの気配がわかること、窓のあるソファーコーナーが欲しいこと、奇をてらわないシンプルな外観にすること、将来親との同居を可能にすることなど極めて限られていました。
本棚のある大きな空間を用意し、それを中心にほぼ一つの空間としてまとめてあります。
断熱は外張り方式を採用し、真夏の太陽高度から庇の長さを決め、効果的に風が通るように窓の位置を決めました。
暖房に関しては、床下に簡単な放熱器を置き、お湯を通してまず床下の空気ををあたたためました。
当然フローリングもほんのりと暖かくなります。
その暖気は、一番冷えるガラス面の下だけでなく、流し台や洗面台の家具の足下など様々な所から室内に出てきて、大きな空間を均質な温度に保つことに成功しています。
夏はエアコンなしで十分で、冬は家中均一に暖かいということです。
暖房のランニングコストも月に1 万円程度とのことで、非常に満足してお暮らしとの年賀状を頂き、嬉しい限りです。

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    コーナーにしつらえられた落ち着いたソファーコーナーです。
    スカンジナビアレッドの木製断熱窓からは生産緑地の緑が見えます。
    最高の読書空間ができました

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    外観はシンプルにまとめました。
    直射日光を入れないために庇が長く出ています。
    エコロジー的に考えると、庇は一番簡単な断熱、建物保護の装置です。
    その分デザイン的には普通の建物に近くなってくるので、いつまでたっても悩みの種です。
    尚、車椅子利用に備えて、駐車場に段差解消機が設置できる様になっています

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    本棚のある吹き抜け空間から食堂を見ました。
    冬は心地よい日だまりの空間になります

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    本棚のある吹き抜け空間です。
    右の本棚の下からも暖かい空気がほんのりとあがってきます。
    階段を上がると奥様の電子ピアノが置かれ、寝室と納戸があります